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2021.02.10

アウトドア仕事図鑑!宿を開業した卒業生、自然と上手に付き合う暮らしを仕事にする。

こんにちは。i-nac教員の小野です。

2020年~2021年の年末年始は、”豪雪地”妙高らしく沢山の雪が降り、家々の屋根には雪がのって、雪壁の間を運転する雪国らしい景色になりました。ここ数年の小雪で忘れかけていましたが、妙高の人々はこの雪と上手に付き合う暮らし方を当たり前に実践しているんですよね。

今回はシリーズ「アウトドア仕事図鑑」として、i-nacでの3年間を通して、雪国妙高での”暮らし”に魅力を感じ、自分なりの方法で地域と人々をつなぐチャレンジを続けている卒業生の今をご紹介します。

 


暮らしを遊ぶように楽しむ人

ここで、今回の主役である”もろさん”こと諸岡龍也さんをご紹介しましょう。

諸岡龍也さんは十年間保育士として働いた後、32歳でi-nacに入学しました。

野外教育学科(現:野外教育&アウトドアスポーツ学科)では、子供たちを中心とした自然体験活動の企画や運営。アウトドア活動全般の知識と経験を身につけながらも、自分なりの自然との関わり方を模索し、田舎の中で当たり前のように自然と共に暮らしている人々に惹かれていきました。

学生時代から、空き家を借り、地域の人、暮らし、自然を実体験として学ぶことにこだわる姿勢を貫いています。

地域の方々にとっては、当たり前のこと(除雪や田んぼや地域の行事など)に楽しさを見出し、繋がり、暮らしを遊ぶように楽しんでいる様子は、彼の周りにいつも笑顔が溢れている理由だと思います。
卒業後は、妙高市の地域おこし協力隊として3年の職務を終え、この1月に妙高市内に「こつぼねの家」という宿泊施設をオープンしました。

 


創作型暮らしあそび宿


こつぼねの家は、妙高市内の新井南部地域に位置する「小局(こつぼね)」という集落にあります。築140年の古民家で滞在を通して、地域のことを体験できたり、妙高という地域の暮らしを感じてもらえるお宿です。
ただ、いわゆるおもてなしのある「提供型」のお宿ではありません。

ゲストが自分で暮らしながら、過ごしながら暮らしを自分で紡いで行くことができる。それを楽しむ。そんなお宿です。

「暮らしの中で遊び心というか、なんだかんだ楽しみながら暮らしている地域の人を見て、少し体験してもらって、自分の生活や暮らしに戻ったときに、ここで経験したことがゲストの生活を見直すきっかけになってくれたら良いかなと考えています。」

 


一昔前の暮らしを楽しめる場所

 
施設としては、共有スペースとしての居間、茶の間があって来られた人の憩いの場となります。ここには、囲炉裏もありますよ。

台所も共同で利用ができるスペースで、今は難しいですが、ゆくゆくは宿泊者皆さんで料理ができるようなスペースとなっています。

ただ、電子レンジや炊飯器はありません。(冷蔵庫はあります)
創作型のお宿なので、蒸し器を使っていただいたり、ご飯を炊くのは釜か、飯盒か、土鍋か。最悪、家の前にある竹でもできます(笑)その手間を楽しんでいただきたいです。


水周りは整っています。水洗トイレにお風呂、シャワー。

お風呂は、檜の樽風呂です。ただここも、お湯を沸かすのは薪(まき)で山の水で沸かします。1時間くらいは火を焚いていないといけないですね(笑)ゲストにもやっていただきます。でも、そうやって沸かしたお風呂は格別ですよ。温泉ではないんですが、なんだかお湯がまろやかで、体が全く冷えないです。

寝室は、畳の和室で布団で寝ていただくスタイルです。
昔の道具が多いので、よく博物館みたいですね。と言っていただきますが、私としては使うものしか置いてないんですよね。昔の道具は、理に適っているものも多くて、あの簑(みの)とかもたまに雪かきとかで使っています(笑)


 


お宿にした理由

卒業してから妙高市の地域おこし協力隊として3年間、新井南部地域にいて地域の人から暮らし方を学んで来て、雪国の暮らしの持つポテンシャルにすごく惹かれました。

i-nacで学ぶ中で、道具をしっかりと準備しリスク管理をしてフィールドに出かける姿勢を学んできましたが、地域の人は本当にその辺にあるものを使って、感覚や経験でリスク管理をしているんですよね。

学校の授業の中で地域の中に入ってお米作りを体験したり、イベントを企画したりする中で、地域の人と接しながら、自分はそんな姿に憧れているんだなと気づかされました!

 

そこからは、自分も地域の人からもっと教えてもらいたいと感じましたし、教えてもらう為の場所も必要だなと思ったんですよね。

そうしたら、こういった古い家で昔の暮らし方ができるようなところがあると、知恵や力を発揮できる場所として、地域の人が目を輝かせて、昔を思い出したかのようにイキイキと教えてくれるんですよね。なので、この家は私にとってコミュニケーションツールだと思ってます。

ただ、この沢山の学びを私と地域の人だけが感じるのはもったいない。移住者や地域外の人がこの地域良いなとか、自分の暮らし見つめ直したいなと思ったら、いくらでも居られる場所にしたいなと思いました。
それが、お宿にした理由です。
 


暮らし続けていることこそに魅力がある


妙高市は合併を経て今の面積になっていますが、昔の行政区は大きく分けて3つ程ありました。
このそれぞれの地域で色が全然違うという点が面白いんですよ。

・妙高山の麓の観光エリア:スキー、スノーボードが楽しめて温泉もある。
・妙高市街の中心エリア:市役所や住宅、商業施設があり暮らしやすい。
・山間部の里山エリア(新井南部地域):昔ながらの暮らしが残る。

 

私は、里山エリアに住んでいますが、この地域はあるがままなんですよね。なので余白がある。誰も自分の地域が魅力的だとも思っていないし当たり前なんです。なので、自分が入り込みやすかったというのがあります。

昔ながらの暮らしをしても笑う者もいないし、それをけなす人もいない。

逆に応援をしてくれる人が沢山いて、「こういった魅力あるんだ。」と再認識してもらえるのは嬉しいです。私のように、新しい人が入り込める余地もあるし、ネイティブ妙高の方々も共存できてるという点が、素敵だなと感じています。

沢山雪が降るのに、まだ暮らし続けているっていうのはやっぱり魅力があるんですよ!そういった人たちがいるっていうのは、私からしたら心強いです。

 


手間を楽しめる人にこそ来てほしい


ここでの時間は、捉え方によっては「手間がかかる」と思います(笑)
その手間すらも、暮らしの一部として楽しんでもらいたいと考えていますが、普通の「提供型」のお宿を希望される人だとミスマッチになってしまうかもしれない。なので、マッチングは少し考えています。

 

「こつぼねの家」初回の方は、ハガキか手紙でのお申込みのみでお願いしています。
何でかというと、予約の段階から手間を楽しんで、惜しまずにやりとりをさせていただきたい。そのやり取りを通して「どんな方かな?」と想像しながら、そこにも楽しみがあると思ってのことです。

2021年1月9日にオープンしましたが、お手紙も少しづついただいていて、遠くは福岡からも。

新型コロナもあるので、今は様子を見てとなっていますが、「どうやって行けますか?」とか「どんな風に楽しめますか?」といったやりとりが出来ているのは、とても楽しいなと感じています。

私にとっては新型コロナもチャンスと捉えていて。ゲストに期待値を高めてもらう時間、そんな風に考えています。

 

 


いかがでしたか?
逆境の中でも、ポジティブでドンと構えていることが印象でした。

お話しを聞きながら、「手間を惜しまない」「時間をかけて楽しむ」といったワードは何回も聞くことができました。先が見えない不確実な世の中を、楽しく生きて行くにはこんな心持ちが大切なのかもしれません。

最後にもろさんからのメッセージです。

 

どんな時でもワクワクを忘れず、遊び心を大事にしたい。
それは、昔ながらの暮らしにエッセンスが沢山あると思っています。

 
 


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