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NEWS & TOPICS

新型コロナを学びに変える!アウトドア専門学校のリアル(前編)

みなさんこんにちは。畑のゴーヤが絶好調、毎日ゴーヤジュースで同じく絶好調のi-nac田辺です。

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)が世界を席巻し始めてから半年。
私にとっては改めて「アウトドアの学びとは何か?」「アウトドアの専門学校だからこそできることは何か?」を考える良い機会となりました。

まもなく始まる後期を前に、激動の前期日程を振り返りながら、i-nacが新型コロナ対策をどのように行ってきたかをつれづれに紹介していきます。

 

まずは前編として、新型コロナがもたらす怒涛の変化にどのように適応してきたか、そして“ピンチを学びのチャンスに変えてきたか”について。
長期化を見据えた、「withコロナ」におけるリスクマネジメントについては後編で紹介します。

 

混沌とした時代に最も危険なのは、混沌そのものではなく昨日と同じ論理で行動することだ。
引用:ピーター・ドラッカー
フレデリック・ラルー(著),鈴木立哉(訳),嘉村賢州(解説)「ティール組織-マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」英治出版

 


緊急事態宣言からの1カ月はまさに怒涛のごとく

4月から本格化した新型コロナの影響により、入学式の中止→2週間の健康観察期間→4月下旬オンライン授業開始→GW後対面授業の一部試行開始を経て、5月中旬からようやく通常の時間割に沿って授業・実習ができるようになりました。

といっても、教育機関としては、かなり早い復旧です。
地方にある、文字通り田んぼに囲まれた自然の中にある学校だからこそですね。

特に4月下旬以降の1か月間は、新型コロナの状況が目まぐるしく変わる中で、初めてのオンライン授業や、検温・消毒・3密回避の中での対面授業など、毎週のごとく新しいことにチャレンジしてきた感があります。

 

経営学の世界的な権威、ピーター・ドラッカーの言葉「混沌とした時代に最も危険なのは、混沌そのものではなく昨日と同じ論理で行動することだ」が、「いま、まさに、それ!」でした。
経営の神様、さすがです。

4/7学校配信:【重要】2020年度4月からの授業開始についてお知らせ
4/17学校配信 :【重要】緊急事態宣言の発令地域拡大に伴う対応について
5/17学校配信 :【重要】ゴールデンウィーク終了後の授業対応について

 

この「リスクを取る」ということが機械(AI)はすごく苦手ですから、人間はそこを強くしないといけません。
引用:落合陽一「日本再興戦略」NewsPicks Book

未来についてわかっている唯一のこと、それは現在とは違うということだ。未来を予測する最善の方法は、それをつくることである。
引用:ピーター・ドラッカー
フレデリック・ラルー(著),鈴木立哉(訳),嘉村賢州(解説)「ティール組織-マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」英治出版

 


新型コロナを学びに変える。学生へのメッセージ

3月下旬、新年度にはいる直前。ちょうど検温・体調チェック、マスク着用、3密回避といったクラスター対策が急速に重要度を増してきた時期です。
学校としては、新型コロナを最大レベルのリスクに位置づけて対応していくことが決まっていました。

3月30日、全学生に電話をかけて、新型コロナ対策状況、体調・生活状況についての確認をしたこの日、新型コロナというピンチを学びのチャンスに変えるために、新型コロナを学びに変えるエッセンスを5つにまとめたメッセージを学生に送りました。

 

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【新型コロナを学びに変える5つのエッセンス】

①生きること(自分の命を守ること)に主体的になる

②常識、想定にとらわれない思考

③いかなる状況でも最善を尽くす

④常に仮説検証を行い、判断していく

⑤率先行動者であること
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アウトドア専門学校で共に学ぶみなさんへ

今回の新型コロナショックにあたり、i-nacの教員は、以下の仮説の検証をまさに今リアルに行っています。

仮説「アウトドアの経験、特にリスク管理スキルは、今の状況=新型コロナによる非常事態に応用して役立たせることができる」

 

その理由を紹介・共有します。

① 生きること(自分の命を守ること)に主体的になる

アウトドアの環境、ここでは都市救急の及ばない=救急車が来られない環境では、受動的であることは高リスクです。
そもそも、アウトドアにいる時点で、社会インフラ(電気、水道、ガス、医療機関、コントロールされた物理環境空間など)や社会関係資本(人と人のつながり、肩書、所属など)への依存からフリー/独立な状態なので、いわゆる裸の、無防備な状況です。

アウトドアを楽しむことは、つまり、あえてリスクをとってそのような環境で活動することとなります。
ソロの活動はなおさらですね。

よって、iーnacの学生・教員(以下、我々)は新型コロナのリスク状況下でも「主体的に生きる」ことができます。


 

② 常識、想定にとらわれない思考

自然の中では、あらゆるものが刻一刻と変化しています。極論すると同じ条件がありません。

原則的には、自分の想定を超えない範囲での活動を目指しますが、時には想定外のことが起こることもあります。
天候の急変、不慮のケガ、ハチなどの野生生物による負傷、道に迷って夜になったといった場合には、その時の想定外な状況で可能な選択肢の中から最適な1つを選ばなければなりません。

そのような際にもパニックになったりしないように、あるいは最悪手を選ばないように、ある意味矛盾していますが、想定外が起こることを前提に行動するようになります。

よって、我々は、新型コロナにおいても日々直面する未経験な状況を冷静・客観的に捉え、柔軟に思考し行動できます。

③ いかなる状況でも最善を尽くす

想定外や非常事態の状況に陥った時に、その時その場所その環境で精一杯できることをするのが、自然と向き合う基本姿勢となります。

夜に雨や風が強くなってテントが破損した場合、すべては自分に降りかかってくる、その責任はすべて自分にあります。自然の摂理として、その時の最善を尽くしても対応できないこともありますが”そのような場合でも自分ができることはやはり最善を尽くすこと”です。

よって、我々は、いかなる状況でも最善を尽くすことができます。

 

④ 常に仮説検証を行い、判断していく

刻一刻と変化する、また予測できない状況や想定外もしばしば起こる自然の中では、1つの判断に長く固執するのは危険です。

シビアな状況では特に、状況の変化に合わせ、仮説を立て、検証し、次にまた仮説を立て、、、と判断を繰り返しながら進んでいくことが致命的なミスを起こさない秘訣です。

我々は、新型コロナ状況下においても、その時々に得られる情報を精査し、仮説を立て、検証し、判断・行動していくことができます。

⑤ 率先行動者であること

これは、「緊急時に、正常性のバイアス、先入観・偏見・固定観念の罠、思考停止に陥らず、すぐに判断し行動がとれること」を意味しています。

みんなで行動中、道が間違っていると思ったときに、メンバーに「道が間違っていると思うんだけど」と、気付いた時点でそう言えるか。
滑りそうな道が出てきたときに、ほかのメンバーが滑らないような声かけや対応がとれるか。

これは、イノベーター理論でいうところのイノベーター(革新者,冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人)にあたる行動です。

我々は、「新型コロナ感染抑止に求められる行動」に率先して取り組むことができます。

 


自然の中での学びの本質
~変化するリアルな世界で「自分」をアップデートする

もし、今の社会で強く求められているのが、セルフイノベーション=自己変革を起こす力であるならば、アウトドアの経験は効果的な面があると思っています。
社会や企業に一大変革を起こすイノベーションではなく、個人一人ひとりが、自分自身に関する小さな変化・行動を起こすようになる。

特にコロナショックのような破壊的な変化を目の当たりにした時に、正常性のバイアスにかからず、小さい範囲でも率先して判断・行動を起こせるような能力は、アウトドアを通して自然から学んできたわたしたちの大きな財産です!

少なくとも、アウトドア専門学校では、そういった意識で学生ともども学びの日々を送っています。

 

後編につづく

 

 

【執筆者】
野外教育・アウトドアスポーツ学科主任・田辺慎一

北海道生まれ。帯広畜産大学山岳部出身。
北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了(博士・地球環境科学)。自然資本主義。
生態学の視点から、人と自然の関係をデザイン・提案することがライフワーク。
日本生態学会論文賞 (2002年)、日本森林学会奨励賞(2006年)受賞。
登山、薪割り、自家菜園、山スキー、本厄の年に始めたトレランで runに目覚め、妙高の18の山間集落を駆け巡る超ハードな山岳ロードマラソン「MURA18」をプロデュース。
ULTRA TRAIL Mt.FUJI(富士山周辺の山々を160km走る日本最大のトレイルランニングレース)年代別1位経験有。
ボルネオ島のキナバル山(標高4,095m)を中心とした国際的な生態系観測プロジェクトに参画、現地集落に1年半ホームステイし長期滞在型テレワークを経験。
国際的な生物多様性観測プロジェクト(IBOY:International Biodiversity Observation Year)において、マレーシア、インドネシアでの生物調査、現地スタッフ対象の生物同定トレーニングコースのマネジメント・講師を担当。
ロシア、中国、韓国、日本の里山を対象とした生物多様性観測プロジェクト(SBOY:SATOYAMA Biodiversity Observation Year)を提案、共同研究を推進。
北海道大学低温科学研究所研究員、金沢大学自然計測応用研究センター21世紀COE研究員、総合地球環境学研究所共同研究員、十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロ研究員を経て現職。

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